アレクサンドラ構文(係り受けの問題)・解答解説

塾長
塾長
May 21, 2025

‍こんにちは!

オンライン授業のクエスタオンライン、
福井県坂井市春江町の学習塾クエスタ塾長の大村です。

当塾では開業当初から「読解力」に着目し、
無学年式の専門講座を開講していますが、
先日、アベマTVに新井紀子先生がご出演され、
読解力とRSTに注目が集まっています。

アベプラ公式チャンネルより↓↓↓

ということで、今日のテーマは「係り受け」について。

この動画でも取り上げられ、
簡単そうにもかかわらず半分以上の中学生が間違えてしまうという
「アレクサンドラ構文」読み解きのカギにもなるものです。

「アレクサンドラ構文」の実際の問題を見ながら、
係り受けがどのように読解の役に立つか紐解いていきたいと思います。

【問題】

Alexは男性にも女性にも使われる名前で、女性の名Alexandraの愛称であるが、男性の名Alexanderの愛称でもある。

この文脈で、以下の文中の空欄にあてはまる最も適当なものを選択肢のうちから1つ選びなさい。

Alexandraの愛称は(     )である。

(1)Alex (2)Alexander (3)男性 (4)女性

※「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」 新井紀子著 東洋経済新報社

【正解】

(1)Alex

【解説】

この問題は「Alexは」と「女性の名Alexandraの愛称である」の係り受け関係を正しく認識できるかを試す問題です。

文のつくりはこのようになっています。

[Alex(は)]→

→①[男性にも女性にも使われる名前(で)]、

→②[女性の名Alexandraの愛称である(が)]、

→③[男性の名Alexanderの愛称でもある]。

「Alex」が①[男性にも女性にも使われる名前で](ある)の主語であることは明らかですが、②・③にもかかっています。

このことは②・③「愛称である」の主語が書かれていないことや「で」や「が」でつながれていることからもわかります。

①と主語が同じなので②③に改めて主語を書く必要が無いわけです。

主語[Alexは]と[②女性の名Alexandraの愛称であるが]を直接つなぐと、「Alexは女性の名Alexandraの愛称である」となるので、正解は「Alex」となります。

どう読めば良いか

読み方としては、最初の主語「Alex」を認識した後で、(で)や(が)でつながれたときに、その意識を次の節に"持ち越す"ようなイメージです。

大事なのは係り受け;「愛称」という単語を知らなくても解ける

「"愛称(あいしょう)"という言葉の意味が分からなかったから解けなかった」という声が聞こえてきそうですが、そうではありません。

知らない単語があると読み飛ばす傾向があるのは確かですが、この問題は「愛称」という単語の意味を知らなくても解くことができます。

試しに"愛称"を●に置き換えてみましょう。当然●に意味なんてありません。これで解けたらこの問いに意味を知ってるかどうかなんて関係ないということの証明になります。

Alexは男性にも女性にも使われる名前で、女性の名Alexandraの●であるが、男性の名Alexanderの●でもある。

Alexandraの●は(     )である。

[Alex(は)]→

→①[男性にも女性にも使われる名前(で)]、

→②[女性の名Alexandraの●である(が)]、

→③[男性の名Alexanderの●でもある]。

Alexと②をつなげると

Alexは女性の名Alexandraの●である

よって空欄に当てはまる言葉はAlex!

ね?

言葉の意味を知らなくても係り受けだけ正しく認識できれば解ける問題なのです。

重文とは

2つ以上の主語―述語の関係が文の中に含まれている構造を「重文」と言います。

この「重文」の中でも、このように同じ主語に対して「で」「て」などの助詞でいくつもの述語をぶら下げるようなパターンでは、2回目以降の主語は省略されます。

ここに読みにくさが生じ、主語ー述語の関係を認識できないと正しく読めないというわけです。

英語にもこのような構造はありますが、日本語では特に、このような方法で1つの主語に対して数珠のようにたくさんの述語をつなげるということがしょっちゅう起こります。

そのため重文で主語ー述語関係を正しく認識することは文章を正しく読むための重要なスキルとなっています。

アレクサンドラ構文は「悪文」か

この問題を間違えた人の反応として、
「こんなよみにくい悪文を書く方が悪い」などと、
いちゃもんを付けるというパターンが結構あります。

それに対しては
「読みにくさのある文だから読み方の問題になってるんですが?」
の一言で済むのでどうでもいいレベルの話なんですが、
それはそれとして、この文章が本当に悪文と言えるかについて考えてみました。

この文章が悪文と言われている理由の主たるものは、
重文構造になっていて、同じ文節に対して主-述関係のある文節が3つもぶら下がっている。
単文構造でシンプルに書いたのが読みやすい文である
読みにくい文すなわち悪文である
というものです。

重文や複文であること自体が悪文なのでしょうか?

私たちが普段読んだり書いたりする文章のほとんどは、
複数の情報を関連付けて示したり、
論理的な繋がり(順接、逆接、並列など)を表現したりするために、
単文だけではなく、複文や重文、さらに複雑な構造の文で構成されています。

単文の羅列では、情報間の関係性が見えにくくなる場合が多々あります。

このアレクサンドラ構文も、
「Alex」という一つの主題について、
「どんな名前か」「誰の愛称か」という複数の情報を一文の中にまとめています。
情報を統合的に提示するという点では、重文・複文構造を採用することは自然なことです。
単に重文だから悪文、というのは短絡的すぎると言えるでしょう。

この文を単文に分解して取り出すと、以下のようになります。

Alexは男性にも女性にも使われる名前だ。

Alexは女性の名Alexandraの愛称だ。

Alexは男性の名Alexanderの愛称でもある。

どうですかこの文章?

わかりやすいですか?

確かに1文1文は読みやすくなっているかもしれませんが、
文と文とのつながりは分かりづらくなっています。

また、同じ主語を3回連続で使っていますが、
かなりくどい・うるさい印象はないでしょうか。。

一つの主語(あるいは主部)に対して複数の述語(あるいは述部)を並列させる構造は、
「並列」などと呼ばれる、ごく一般的な表現方法です。

この構造であること自体をもって即「悪文」と断じるのは、適切ではないと考えます。

並列される要素が3つもあるため、一文で処理するには情報が多く、
「読みにくい」と感じる人がいる、というのは理解できますが、
重文構造を難なく理解できる人にとっては、
冗長性の増したバラバラになった文の方がかえって読みにくいと感じるのではないでしょうか。

結局、「悪文か否か」は、何を基準にするかで判断が変わってきます。

この構造を難なく理解できる人にとっては、バラバラに書いた方が悪文です。

ですから、「悪文」というよりは、
「読み手に一定の能力を要求する文」と表現するのが妥当ではないでしょうか。

入試でも良く出る「読めばわかる」問題;その出題理由は?

実際の学校の定期試験や入試問題でも、このように知識が無くても解ける問題というのは実は結構あります。

もちろん入試問題ともなればここまで簡単なものも珍しいと思いますが、

わざと受験生の誰もわからないような難しい言葉を使って、「読めばわかる問題」を出してきたりします。

入試をやる側からすると、講義を聞けば正しく理解できるような、

「勉強すればいくらでも伸びる」生徒に入ってきて欲しい

(日本語が理解できないような「伸びしろの小さい」生徒はできればご免こうむりたい)

と思っているからです。

難しい学校になると、受験生皆が勉強しているような知識問題だけでは点差が開きにくく、

そのような問題ばかりではうまく選抜できないという事情もあります。

裏を返せば、どんなに難しい言葉を使った文章にも対応できる読解力を身に着けていれば難関校で勝負できるということです。

ご家庭で簡単にできるトレーニング方法

文章を読むというのは、何か知識を教えただけですぐにできるようなものではないので、

こうすればすぐに「係り受け」ができるようになるという方法はありません。

地道に鍛えていくしかないのです。

ですが、時間はかかっても簡単にできるトレーニング方法があります。

お子様が何かを話すときに、文要素や修飾語が抜けていることは多々あるかと思いますが、

そのときにツッコミを入れる方法です。

主語が抜けているときは「何が?」「誰が?」、

必要な修飾語が抜けているときは「何に?」「何の?」「どんなふうに?」など

いちいちツッコミを入れるのです。

これにより、「文要素や必要な修飾語が明確にわからないと気持ち悪い」という感覚を持たせます。

そのような感覚が身についてくると、文章を読むときや人の話を聞く時も、

文要素や修飾語の存在を常に意識して読んだり、聞いたりするようになります。

時間的には何年もかかると思いますが、かなり効果的な方法です。

「短期間で鍛えたい!」「集中的に鍛えたい!」「そんなことしていたら親子関係が・・・」という方は、

以下もご覧ください。

読解力アップにお勧めの教材

新国語講座

基礎読解力というものは頭で理解するだけで身につくものではありません。文章を論理的に読む訓練が必要です。

よくある勘違いですが、市販の国語の問題集で長文読解をやみくもにやっても、基礎読解力は身につきません

基礎読解力が無い方は短文を正確に読めないのですから、長い文章にやみくもに当たっても効果が出ないのは当然です。

この新国語講座では基礎読解力を6つのカテゴリに分けて、それぞれのカテゴリにフォーカスした問題を使って訓練することができます。

この新国語講座は論理的に正確に読むという点にフォーカスが当たっています。

じっくり時間をかけても正確に読めないという生徒さんにお勧めの教材です。

学習塾専用教材となっており、全国のお近くの学習塾で受講可能です。

近くの塾がリストに無い、塾ではなくオンラインで受講したいという方は、

リュケイオン・オンラインで5500円~で受講できます。

速読解力講座やすららとセットでお得に受講できるメニューもあります。

速読解力講座

試験で成績を残すためには、「正確に読める」だけでは足りません。

試験には制限時間があり、その時間内で「速く正確に」読める必要があります。

学校の授業でも先生の板書や説明のスピードに追い付く必要があります。

せっかく文章を正しく理解する力があっても、スピードが追いつかないのなら「読めない」のと大差ありません

高校入試も大学入試も近年語数が著しく増加しており、「速く読む」ことも含めて必須のスキルになりつつあります。

「速読解力講座」は認知能力や情報処理スピードにフォーカスが当たっており、

「速く読む能力」を身に着けるためのたくさんの種類のトレーニングを行うことができます。

情報処理が遅い生徒さんや、いつも試験で時間が足りなくなってしまう生徒さんにお勧めです。

学習塾専用教材となっており、全国のお近くの学習塾で受講可能です。

近くの塾がリストに無い、塾ではなくオンラインで受講したいという方は、

クエスタ・オンラインで5500円~で受講できます。

速読解力講座やすららとセットでお得に受講できるメニューもあります。

すらら

すららは読解力特化の教材ではありませんが、

実はこのすららの「国語」が基礎読解力の養成に大変効果的な内容と構成になっています。

いきなり長文から始まるような国語教材には基礎読解力を上げるには向いていないというお話をしましたが、

このすららは1文を正確に読むためのスキルを身に着けるところから始まり、

2~3文程度の長さの文、中くらいの文、よくある国語問題集の長文くらいの文、

入試レベルの長文という形で順を追ってステップアップしていく構成になっています。

そして1文の読解や2~3文・中くらいの長さの文の読解のフェーズでは、

この問題でも取り上げた係り受け、照応解決、推論、具体例同定など

基礎読解力6分野のうち5分野を丁寧にカバーしていて、まさに基礎読解力養成に適した内容になっています。

すらら国語でカバーされていないのは基礎読解力6要素のうち「イメージ同定」のみですが、

こちらは算数(数学)・理科・社会でカバーすることができます。

しかもこのすらら、受講者はもれなく無料のコーチングサービスを受けることができます

生徒さんの実力や学習段階に合わせた目標を、学習塾経営者がたててくれ、進捗管理までしてくれます。

確かな読解力が身につくまで二人三脚で伴走してくれるというわけです。

私も現役のすららコーチとして活動していますが、その際、理解力に課題がある生徒にはまずこの国語を勧めています。

この教材を順を追ってやっていけば読解力が上がり、勉強全体が進めやすくなるという確信があるからです。

すららの国語は

・トレーニングだけでなく、説明もじっくり聞きたいという生徒さん

・基礎読解力を長文につなげたい生徒さん

・進捗管理や学習計画までみてほしい生徒さん

など幅広い層にお勧めできます。

このすららもクエスタ・オンラインで3~4教科8,800円・5教科1,1000円で受講することができます。

値段はすららネットで直接受講するのと変わりませんが、リュケイオンオンラインでは質問ができたり、

他の講座の割引が受けられたりといった他にはない特典があります。

いますぐお試しください!

過去問1000本ノック
4コマ無料体験のお申し込み/お問い合わせはこちら

※最適なご案内をするため、確認テスト・学診テスト・福井新聞模試の結果(最新1~2回分)もここにお書きください。
Thank you! Your submission has been received!
Oops! Something went wrong while submitting the form.

Related articles

Browse all articles