福井高専を目指す中学生の皆さん、こんにちは。
福井高専は実践的な技術者を育成する5年制の高等教育機関として、
地域に根ざした魅力ある学校です。
しかし、高専の入試制度は一般的な高校入試とは異なる部分も多く、
受験生や保護者の方々にとって不安な点も多いのではないでしょうか。
この記事では、福井高専の入試制度や対策方法、
学校の特徴などについて詳しく解説します。
一般的な高専入試の情報に加え、
福井高専特有の情報もまとめていますので、
受験準備の参考にしてください。
福井工業高等専門学校(福井高専)は、
実践的な技術者を育成する5年制の高等教育機関です。
福井県鯖江市に位置し、1965年に設立された歴史ある学校です。
ここでは、福井高専の学科構成、教育方針、
そして卒業後の進路状況について詳しく見ていきましょう。
福井高専には以下の5つの学科があります:
機械工学科:
自動車、飛行機、ロボットなどの機械システムや、
環境、福祉、宇宙工学などの分野について学びます。
材料、エネルギー、制御情報など幅広い技術を身につけられます。
電気電子工学科:
環境にやさしいクリーンエネルギーや新素材技術、
ロボットやシステムの電子制御、プログラミング技術、
情報家電や光通信などの電子回路や情報通信技術を学びます。
電子情報工学科:
コンピュータの構造や仕組み、高度なプログラミング技術、
ネットワーク技術、AIロボット制御、最先端のICTシステム・サービスの開発などを学びます。
物質工学科:
化学と生物学を基礎とし、人々の健康的な生活に貢献する技術、
有用物質や新材料の開発、微生物や遺伝子組み換え技術を活用した物質生産や環境浄化などを学びます。
環境都市工学科:
自然と共生した環境づくり、快適な生活のための建物と街づくり、
災害から人々の暮らしを守るシステムづくりなどを学びます。
福井高専の教育方針は、「技術者としてのグローバルな視野を持ち、
産業の発展に貢献できる人材の育成」です。具体的には以下のような特徴があります:
早期専門教育:1年生から専門分野の授業を開始し、5年間で高度な専門知識と技術を身につけます。
実践的な教育:講義だけでなく、実験・実習を重視し、手を動かして学ぶ機会を多く設けています。
創造性の育成:ロボコン、プロコン、デザコン、英語プレコンなど、様々なコンテストへの参加を奨励し、創造力と問題解決能力を養います。
グローバル教育:英語教育に力を入れ、海外研修や留学プログラムも充実しています。
人間性の涵養:部活動や寮生活を通じて、協調性やリーダーシップを育成します。
福井高専の卒業生は、就職と進学の両方で優れた実績を残しています。
就職状況:
・就職率は例年ほぼ100%を維持しています。
・求人倍率は30倍以上と非常に高く、景気に左右されにくい安定した就職実績があります。
・主な就職先には、鯖江村田製作所、信越化学工業、パナソニック、トヨタ自動車、JR東海、関西電力などの大手企業が名を連ねています。
・公務員として地方自治体に就職する卒業生もいます。
進学状況:
・卒業生の約40%が進学を選択しています。
・福井高専専攻科への進学のほか、国立大学の3年次への編入学が主な進学先です。
・主な進学先には、東京工業大学、名古屋大学、筑波大学、金沢大学、福井大学などがあります。
・専攻科修了後に大学院へ進学する学生も少なくありません。
福井高専は、実践的な技術教育と充実した学生生活、
そして卒業後の幅広い進路選択肢を提供しています。
次世代のエンジニアを目指す中学生にとって、
魅力的な選択肢の一つと言えるでしょう。
福井高専は国立高等専門学校であり、私立の高校や大学と比較して比較的低い費用で高度な専門教育を受けることができます。
ここでは、入学金や授業料、そして寮費について詳しく見ていきましょう。
福井高専の入学に必要な主な費用は以下の通りです(令和6年度)。
入学料:84,600円
授業料:234,600円(年額)※前期・後期の2回に分けて納付
これらの他に、日本スポーツ振興センター掛金(年額1,550円)、学生会費(年額7,000円)、教育後援会入会金(10,000円)、教育後援会費(年額24,000円)などが必要となります。
また、別途教科書代・学用品代や制服代等も必要になりますので、注意が必要です。
福井高専には学生寮があり、遠方からの学生も安心して学業に専念できる環境が整っています。寮費の概要は以下の通りです。
寄宿料:月額800円(1人部屋)または700円(2人部屋)
食費:月額約24,000円
寮費:月額6,000円
エアコンリース代:月額1,900円
電気使用量:半年額約1,000円
その他、入寮時に食器代(4,400円)、年額で寮生会費(2,000円)が必要です。
これらを合計すると、寮生活にかかる費用は月におおよそ3万円程度となります。
ただし、居室や電気使用量、食事の献立によって多少の増減があります。
福井高専での学生生活は、高度な専門教育を受けるだけでなく、
様々な経験を通じて人間的にも成長できる環境が整っています。
ここでは、寮生活、部活動、そして学校行事について詳しく見ていきましょう。
福井高専には学生寮があり、多くの学生が寮生活を送っています。寮生活には以下のような特徴があります。
・通学時間を考慮して入寮者が選考されます。
・1人部屋と2人部屋があり、部屋の広さは約8平米(約5畳)程度です。
・各階に補食談話室があり、冷蔵庫、ガスコンロ、電子レンジなどが設置されています。
・インターネットは居室では使用できませんが、図書室やアメニティースペースでは利用可能です。
・携帯電話やスマートフォンの持ち込みは可能ですが、ルールを守って使用する必要があります。
・冷蔵庫やテレビなどの電化製品の持ち込みは、申請すれば可能です。
・寮には宿直の先生がおり、体調不良時などはすぐに対応してもらえます。
寮生活を通じて、規律ある生活習慣や自立心、
そして他の学生との協調性を身につけることができます。
福井高専では、学業との両立を図りながら、多くの学生が部活動に参加しています。
主な部活動には以下のようなものがあります。
体育系:
・陸上競技部
・バスケットボール部
・バドミントン部(全国大会で準優勝の実績あり)
・サッカー部
・野球部
文化系:
・吹奏楽部
・ロボコン部
・プログラミング部
・化学部
・美術部
これらの部活動を通じて、技術の向上だけでなく、チームワークや責任感、
リーダーシップなどを養うことができます。また、
高専体育大会や各種コンテストへの参加を通じて、他校の学生との交流も深められます。
福井高専では、年間を通じて様々な学校行事が開催されています。
主な行事には以下のようなものがあります。
・入学式(4月)
・新入生オリエンテーション(4月)
・高専祭(文化祭・体育祭)(10月)
・クラスマッチ(6月、12月)
・学科別工場見学(10月〜11月)
・卒業研究発表会(2月)
・卒業式(3月)
これらの行事を通じて、学年や学科を超えた交流が深まり、
充実した学生生活を送ることができます。
特に高専祭は、学生が主体となって企画・運営を行い、
地域の方々も多く訪れる大きなイベントとなっています。
また、福井高専では以下のような特色ある取り組みも行っています。
・海外研修プログラム:グローバルな視野を養うための短期留学プログラムがあります。
・インターンシッププログラム:実際の企業で就業体験ができます。
・各種コンテストへの参加:ロボコン、プロコン、デザコン、英語プレコンなど、様々なコンテストに積極的に参加しています。
福井高専での学生生活は、高度な専門知識や技術を身につけながら、
様々な経験を通じて人間的にも成長できる環境が整っています。
寮生活、部活動、学校行事など、すべての経験が将来のエンジニアとしての素養を育むことにつながっています。
福井高専の入試制度は、推薦入試と学力入試の2つの選抜方法があります。
ここでは、それぞれの入試制度について詳しく見ていきましょう。
推薦入試は、学校長の推薦を受けた優秀な生徒を対象とした選抜方法です。
出願資格:
・令和7年3月に中学校もしくは義務教育学校を卒業見込みの者
・本校への入学意思が強固であること
・志望学科に対して、適性、興味及び関心があること
・人物が優れ、調査書の各記録が優良であること
・次のいずれかの条件を満たすこと
a) 第2学年及び第3学年の9教科の評定合計が66以上(5段階評定の場合)
b) 科学や技術分野に強い関心を有し、コンテストや課外活動で優れた成果を収めた者(評定合計62以上)
c) 帰国生で学校長が上記と同等と判断した者
選抜方法:
・調査書、推薦書、作文(50分)、面接(15〜20分程度)の結果を総合的に判断
・科学技術分野での実績がある場合は、自己推薦書も考慮
募集人員:
各学科28名(学科定員40名の約70%)
学力入試は、5教科の学力検査による選抜方法です。
出願資格:
令和7年3月に中学校もしくは義務教育学校を卒業見込みの者
選抜方法:
・5教科(国語、数学、英語、理科、社会)のマークシート方式の学力検査
・調査書も併せて考慮
試験時間:
各教科50分
募集人員:
各学科12名程度(推薦入試で欠員が生じた場合は増員)
複数学科志望制:
・推薦入試では第2志望まで、学力入試では第3志望まで志望学科を選択可能
・第2志望以下での合格の場合、1年次の成績次第で2年進級時に転科可能
推薦入試不合格者の学力入試への自動エントリー:
・推薦入試で不合格となった場合、希望すれば追加の手続きなしで学力入試を受験可能
・学力入試では推薦入試と異なる学科を志望することも可能
最寄り地受験制度:
学力入試は、福井高専だけでなく、全国の国立高専で受験可能
これらの制度により、受験生の希望や状況に応じた柔軟な受験が可能となっています。
4.4. 入試日程(令和7年度入試予定)
推薦入試:
・出願期間:令和6年12月上旬
・試験日:令和7年1月中旬
・合格発表:令和7年2月中旬
学力入試:
・出願期間:令和7年1月中旬
・試験日:令和7年2月中旬
・合格発表:令和7年2月下旬
福井高専の入試制度は、学力だけでなく、志望動機や適性、
特別な才能なども考慮した総合的な選抜を行っています。
これにより、将来有望な技術者となる可能性を持つ多様な学生を受け入れることを目指しています。
受験を考えている皆さんは、自分に合った入試方法を選び、
計画的に準備を進めていくことが大切です。
また、オープンキャンパスや学校説明会に参加して、
実際の学校の雰囲気を感じ取ることも重要です。
福井高専の入試に関する具体的なデータは、受験生にとって重要な情報です。
ここでは、志願倍率、合格最低点・平均点、偏差値について詳しく見ていきましょう。
福井高専の令和6年度(2024年度)入試における志願倍率は以下の通りです:
学科別志願倍率:
・機械工学科:0.83倍
・電気電子工学科:1.23倍
・電子情報工学科:1.35倍
・物質工学科:0.93倍
・環境都市工学科:1.18倍
全体の志願倍率:1.10倍
これらの数字から、電子情報工学科の人気が高く、
機械工学科と物質工学科はやや志願者が少ない傾向にあることがわかります。
ただし、志願倍率は年度によって変動するため、過去数年間の傾向を見ることも重要です。
福井高専の学力入試における合格者の得点に関する情報は以下の通りです:
令和5年度(2023年度)入試:
・5科目総得点平均(500点満点):332.5点
これは全体の平均点であり、学科別や最低点の公開はありません。
各所の情報を統合すると、以下のようなことがわかります。
・各教科65点以上得点できれば合格可能性が非常に高い
・各教科50点でも合格可能圏内
・全体の平均が高くても、極端に低い科目があると不合格の可能性がある
また、福井高専では学力入試の得点による足切りは行っていませんが、
各教科の得点があまりにも低い場合は、総合判定で不利になる可能性があります。
多くの受験生が陥りやすい誤りとして、
福井県内で実施される学力診断テストの結果を過信することが挙げられます。
学診テストは県立高校の入試を想定して作られている問題なので、
高専の入試問題とは出題傾向が全く違います。
そのため、ボーダーを超えたから安心と言うことも、
切ったから望み薄と言うこともできません。
今年の学力診断テストでの「福井高専のボーダー」は340点と言われていますが、
それは福井高専の合否を占う目安とはならないのです。
では、どのような指標を参考にすべきかと申しますと、
最も参考になるのは受験者層の幅が広いタイプの規模の大きな模試における偏差値です。
福井高専の偏差値は約62とされています。
これは全国の高専の平均(62.2)とほぼ同等のレベルです。
ただし、偏差値は合格者の学力を表す一つの指標に過ぎません。
また、偏差値は模試によっても異なります。
福井県内の他の高校と比較すると:
・武生高校 普通科(偏差値:66)
・若狭高校 文理探究科(偏差値:64)
・羽水高校 探究特進科(偏差値:61)
このように、福井高専は県内でも難関校の一つと言えます。
福井高専の入試では、特に理科と数学の難易度が高くなっています。
これは高専が技術者育成を目的としているためで、
これらの科目に強い適性を持つ学生を選抜しようとする意図があります。
そのため、ボーダーラインはどれくらいかというと、理科・数学で偏差値65、
その他の科目で偏差値60程度と理数科目を高めにみておく必要があります。
福井高専の入試には、一般的な高校入試とは異なる特徴があります。
これらの特徴を十分に理解し、適切な対策を立てることが合格への近道となります。
ここでは、福井高専入試の特徴と効果的な対策方法についてご説明します。
通常の公立高校対策だけでは不十分です。
国立高専の過去問題は全科目に有効な教材です。
それに加えて理数科目では、難易度高めの国私立高校対策の問題集も負担にならない程度のボリュームのものを利用すると良いでしょう。
この講座は1:1~1:6の少人数制で、各生徒が自分のペースで学習を進めます。
講師は学習の管理とピンポイントの個人指導を行います。
一般的なタブレット教材を使う自立学習とは異なり、テキストベースの問題を主に使用します。
さらに、使用するテキストを選べることが特徴で、
高専受験対策という特殊なニーズにマッチした授業を自分のペースで受けることができます。
この講座も自立学習と同じ形式ですが、大量の入試問題を使って高回転で演習をすることに特化しています。
通常は県立対策用に全国の公立高校で出題された入試問題を中心に使用しますが、
高専の受験を考えている生徒向けには高専の10年分の過去問や、
高専の問題と似た形式の問題をピックアップしたものを追加で使用します。
これにより、高専特有の問題傾向に効率的に慣れることができます。
当塾では、家庭学習で基礎固めに使えるWeb教材「すらら」を提供しています。
「すらら」はレクチャー・ドリル・テストで構成されており、基礎部分を自学自習でカバーすることができます。
これにより、以下のようなメリットがあります:
1. 学校の授業に先行して基礎部分の学習を自力で終えることができ、早めに総合問題を含めた演習に取りかかれます。
2. 授業を反転学習メインで効率的に利用できるようになり、高専入試に必要な応用力を養う時間を確保することができます。
他方で、すららでカバーしているのはごく基本的な部分のみになり、発展的内容は授業やテキストでの学習が必要になります。
以上のように、高専の入試は独特の特徴を持っていますが、
それらを十分に理解し、適切な対策を行えば、十分に合格可能な難易度です。
総合進学塾クエスタでは、長年の指導経験に基づいた的確な指導を行い、
生徒一人ひとりの目標達成をサポートしています。
福井高専を目指す皆さん、一緒に合格を勝ち取りましょう!