栄養と学習①:脳にとって食事からの摂取が重要な栄養素7選

塾長
塾長
September 25, 2024

※この記事は弊社オンライン講座リュケイオン・オンライン記事を転載したものです

はじめに

脳に必要な栄養素と言えば、「ブドウ糖」を挙げる方が多いと思いますが、

実は食事で摂取しなければいけない栄養素としては重要度が下がります。

ブドウ糖は体内で脂肪やタンパク質から合成したり、貯蔵したグリコーゲンから取り出したりすることもでき、

カロリーさえ十分ならば特に意識して取る必要もないものだからです。

しかし、正常な脳の活動を維持するのに必要な栄養素はブドウ糖以外にもたくさん存在します。

この記事では、塾長が独断と偏見で脳の機能と学力に特に重要な栄養素7つを選び、そのあらましをご紹介します。

(それぞれの栄養素についての詳細は別記事で触れたいと思います。)

独断と偏見とは言っても、「すべての栄養とバランスが大事だけど、敢えて選ぶ」という意味で、

根拠がないわけではありません。むしろ、「不足すると認知機能や学力の低下が見られるという明確なエビデンスがある」という基準で選んだ7つです。

お子さんの学習能力をサポートする食事作りに、ぜひお役立てください。

あくまでもこれが不足すると決定的な影響があるというだけで、

たくさん取れば頭が良くなるというものでもありません(むしろ過量摂取は過剰症のリスクがあります)ので、

そのあたりを御理解の上お読みください。

目次

1. 学習能力維持に欠かせない!重要栄養素7選

      1-1. タンパク質

      1-2. ビタミンB群

      1-3. 鉄

      1-4. 亜鉛

      1-5. 長鎖不飽和脂肪酸(DHA・EPA)

      1-6. ビタミンD

      1-7. ヨウ素

2. まとめ

 

1. 学習能力維持に欠かせない! 重要栄養素7選

1-1. タンパク質

タンパク質は、脳を含めた体のあらゆる組織を作る材料となる栄養素です。

脳ではそれだけでなく、タンパク質の分解物であるアミノ酸が神経伝達物質の原料という重要な役割を担っています。

不足する場合は筋肉を分解してでも調達されるくらいの重要成分です。

タンパク質不足は認知機能の低下だけでなく、学校での不適応行動やうつ病などのリスクとの関連が示唆されています。

脳での働きの不可欠性に加え、日本人の場合は不足している人がほとんどで、ダイエットでも不足しやすい栄養素なので、当記事では最重要栄養素の一つと認定します。

多く含まれる食品: 肉、魚、卵、大豆製品、乳製品など

 

1-2. ビタミンB群:脳のエネルギー源

ビタミンB群は、脳のエネルギー代謝、神経伝達物質の合成、神経ネットワークの維持に重要な役割を果たしています。

B群の不足はいずれも神経の機能に深刻な影響をもたらしますが、

特にビタミンB1, B6, B12, 葉酸については不足による認知機能や学力の低下に関してのエビデンスが多数あります。

ビタミンB群は水溶性のビタミンであるため、体の中に長期間留めておくことが出来ず、

毎日の食事で十分な量を取る必要があります。

不足した場合の深刻さ、不可欠性、水溶性ビタミンであることなどを踏まえ、

これも最重要栄養素の一つとして位置づけます。

多く含まれる食品: 豚肉、レバー、うなぎ、玄米、大豆製品など

 

1-3. 鉄

鉄欠乏による貧血が認知機能や学力に悪影響を及ぼすことや、

鉄分不足の解消によって認知機能が改善されることを示す複数の研究があります。

さらに、シナプスの結合の形成に欠かせない栄養素であり、

乳児期の不足は長期的な悪影響をもたらすことも分かっています。

特に月経が始まって以降の女子は男子よりも鉄分の要求量が多く影響も受けやすいので、

これも重要な栄養素の一つです。

  • 多く含まれる食品: レバー、赤身の肉、魚、大豆製品、ほうれん草など

 

1-4. 亜鉛

亜鉛は、神経伝達物質の調整や、シナプス可塑性、酸化ストレスからの保護など、様々な脳機能に関与しています。

亜鉛の不足が認知機能や学力に悪影響を及ぼすことや、

亜鉛不足の解消によって認知機能や学力が改善されることを示す複数の研究があります。

亜鉛も植物性食品を多く摂取する日本人にとって不足しがちな栄養素の一つです。

  • 多く含まれる食品: 牡蠣、牛肉、豚肉、チーズ、ナッツ類など

 

1-5. 長鎖不飽和脂肪酸(DHA・EPA)

必須脂肪酸であるDHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)は、

脳細胞膜の構成成分で、かなり昔から「脳に良い」と語られてきた成分です。

従来は不足すると認知機能面で問題が起こるという次元でのエビデンスしかありませんでしたが、

最近はDHAとEPAを積極的に取り入れることに関して肯定的なエビデンスが蓄積されつつあり、特にADHDに対しての効果は注目に値します。

魚を多く食事に取り入れていれば不足することはありませんが、逆に少ない場合は不足する可能性の高い栄養素でもあります。

  • 多く含まれる食品: 青魚(いわし、サバ、マグロなど)、魚油

 

1-6. ビタミンD

ビタミンDは、カルシウムの吸収を促進する働きで知られていますが、

最近の研究では脳の神経細胞の保護や神経伝達の調整にも関与していることが分かっています。

ビタミンDが不足すると、学習能力や記憶力の低下、うつ病のリスク増加などが懸念されます。

一方で、ビタミンDは日の光を浴びることで体内でも合成され、

ビタミンD過剰摂取は命にも係わる深刻な副作用があるので、積極的な補充には注意が必要な栄養素でもあります。

  • 多く含まれる食品: 魚(鮭、さんまなど)、きのこ類、卵

 

1-7. ヨウ素

ヨウ素は、甲状腺ホルモンの合成に欠かせない栄養素です。

甲状腺ホルモンは、脳の発達や神経系の機能に重要な役割を果たしています。

ヨウ素の不足が認知機能や学力に悪影響を及ぼすことや、

ヨウ素不足の解消によって認知機能や学力が改善されることを示す複数の研究があります。

ただし、日本人の場合は海藻や魚介類を食べる食習慣があるため、不足することは殆どありません。

むしろ過量摂取による過剰症に注意が必要でしょう。そのためこの記事では最下位に位置づけています。

多く含まれる食品: 海藻類、魚介類、牛乳、卵など

 

2. まとめ

子供の学習能力や集中力は、毎日の食事で摂取する栄養素と深く関わっています。

脳の発達や機能をサポートするために、今回ご紹介した栄養素(特に上位の5つ)を意識して食事に取り入れてみましょう。

バランスの良い食事は、子供の健やかな成長と学習能力の向上に大きく貢献します。

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